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壱岐市の地域福祉計画と
関連計画の体系整理

社会福祉法第107条に基づく地域福祉計画を軸に、市の分野別個別計画・上位計画、社会福祉協議会・長崎県の計画までを体系と時系列の両面から整理

調査基準日 2026年8月10日/出典はすべて壱岐市・長崎県・壱岐市社会福祉協議会の公表資料

要点

壱岐市は人口約2.3万人の小規模自治体で、法定計画を積極的に一体策定している点が最大の特徴。単独計画を探しても見つからないものが多い。

3
地域福祉計画が1冊で兼ねる法定計画
(社会福祉法・成年後見促進法・再犯防止推進法)
5
こども計画が1冊で兼ねる法定計画
(こども基本法ほか)
10
現行の市の福祉・保健関連計画
(防災計画等の関連計画を除く)
4
令和8年度末で同時に期間満了
=2026年度に改定作業が集中
40.5%
高齢化率(令和8年推計・計画掲載値)
2050年推計は50.4%

計画の階層体系

地域福祉計画は「総合計画の個別計画」であると同時に「福祉分野の分野横断的な上位計画」という二重の位置づけを持つ。計画本文にこの旨が明記され、高齢者福祉計画・こども計画の側からも相互参照されている。

根拠法令(国)
社会福祉法 第107条 ほか分野別根拠法
老人福祉法・介護保険法/障害者基本法・障害者総合支援法・児童福祉法/こども基本法ほか5法/健康増進法・食育基本法/自殺対策基本法/成年後見制度利用促進法/再犯防止推進法/国民健康保険法・高齢者医療確保法
整合
長崎県(社会福祉法 第108条=都道府県地域福祉支援計画)
第6期長崎県福祉保健総合計画「ながさき“ほっと”プラン」令和8〜12年度
県には「地域福祉支援計画」という単独名称の計画はなく、本計画がその役割を兼ねる。ほかに ながさき長寿いきいきプラン/長崎県障害者基本計画(第5次)/長崎県子育て条例行動計画/健康ながさき21(第3次)などが分野別に並ぶ。
整合
壱岐市 最上位計画
第4次壱岐市総合計画令和7〜11年度/2025〜2029
合言葉「一緒に前へ、壱岐新時代へ。」/長期目標=2050年人口2万人の維持。デジタル田園都市国家構想総合戦略を勘案した地方版総合戦略を取り込んだ一体型。福祉は基本目標2「すべての市民が自分らしく安心して健康に暮らせる島」(2-1 持続可能なコミュニティ/2-2 健康・医療/2-3 地域共生社会/2-4 高齢者福祉/2-5 障がい者福祉/2-6 人権・男女共同参画)、子育ては基本目標3に置かれる。
個別計画として位置づけ
福祉分野の上位・横断計画
第3次壱岐市地域福祉計画令和4〜8年度/満了間近
基本理念「誰一人取り残されることがないよう、支え合い、尊重し合い、安心して、自分らしく、いきいきと暮らせるまちづくり」/基本目標=①安全・安心を確保する ②自立した暮らしを支える ③支え合いの環境を育む/所管:市民福祉課 地域福祉班
包含:壱岐市成年後見制度利用促進基本計画 包含:壱岐市再犯防止推進計画
壱岐市社会福祉協議会
地域福祉活動計画第2期は策定検討中
市計画とは一体的策定ではなく「連携」の関係(計画本文の関係図に明記)。第2期は令和6年度事業計画で策定を掲げたが、令和7年度事業計画では「調査・研究」「策定の検討」段階の記載にとどまり、2026年8月時点で未公表。
関連事業:後見センター壱岐(令和3年7月開設)/日常生活自立支援事業/ボランティアセンター/ふれあいサロン/福祉有償運送 ほか
整合(分野別の個別計画)
分野別 個別計画
第3次壱岐市障がい者計画 第7期障がい福祉計画・第3期障がい児福祉計画 高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画 壱岐市こども計画 第3期データヘルス計画・第4期特定健診等実施計画 健康づくり計画「健康いき21」 第2次いのち支える自殺対策計画
周辺の関連計画:過疎地域持続的発展計画(第7章 子育て・高齢者保健福祉/第8章 医療の確保)地域公共交通計画(高齢者の通院・買物支援、免許返納)地域防災計画(避難行動要支援者名簿・個別避難計画・福祉避難所)

計画期間タイムライン

年度は元号(西暦)。令和8年度末(2027年3月)で4本が同時に満了するため、2026年度は改定作業が重なる。県計画も同時期に3本が満了する。

壱岐市の計画 一覧

正式名称・期間・根拠法・所管課。名称をクリックすると市の掲載ページへ。

計画名期間策定根拠法所管課

※ 壱岐市地域防災計画(避難行動要支援者・福祉避難所を規定)は随時修正のため一覧外。総務課 危機管理班所管。掲載ページ
※ 壱岐市次世代育成支援行動計画(後期計画・平成22〜26年度)は期間終了済み。機能は壱岐市こども計画に統合されているが、市サイトに旧ページが残置されている。

地域福祉計画の基本目標と、関連計画・総合計画の対応

地域福祉計画の各施策には「自助(自分・家族)/互助(隣近所)/共助(地域・組織)/公助(市)」の4区分による行動指針が付され、市の欄には担当課名が明記されている。

地域福祉計画の基本目標主な施策の柱受け皿となる個別計画第4次総合計画の対応
1. 安全・安心を確保する 分野横断的な支援体制の構築(重層的支援体制整備事業/まちづくり協議会)/地域の相談体制/アウトリーチ支援(虐待防止ネットワーク、生活困窮者支援=壱岐市生活相談支援センター)/人にやさしい地域づくり(避難行動要支援者・個別避難計画、防犯=再犯防止推進計画、バリアフリー、交通弱者の移動支援) 地域防災計画/地域公共交通計画/障がい者計画(安全・安心な生活環境)/高齢者福祉計画(虐待防止・権利擁護) 2-3 地域共生社会の実現
2-1 持続可能なコミュニティの形成
2. 自立した暮らしを支える 多様な福祉サービス提供主体の育成(社協との連携強化、NPO・事業者育成、人材育成)/良質なサービス供給の仕組みづくり(在宅福祉、地域包括ケアシステム、苦情解決)/権利擁護の推進(日常生活自立支援事業、成年後見制度の普及)/情報提供体制 高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画/第7期障がい福祉計画・第3期障がい児福祉計画/成年後見制度利用促進基本計画(本計画に包含) 2-4 高齢者福祉の充実
2-5 障がい者福祉の充実
3. 支え合いの環境を育む 福祉人材の育成(ボランティアセンター、民生委員・児童委員研修)/地域全体で支え合う体制(社協の機能強化、地域福祉活動計画の実施促進、住民自治組織、活動拠点)/心のバリアフリー化(学校での福祉教育)/人権・男女共同参画意識の啓発 社協 地域福祉活動計画/こども計画(こどもの権利・参加)/健康いき21(地域の健康づくり) 2-1 持続可能なコミュニティの形成
2-6 人権・男女共同参画社会の形成

長崎県の関連計画(市計画が整合を求められる先)

計画名期間策定位置づけ・メモ

整理して見えた論点

  1. 最重要令和8年度に改定作業が4本重なる。地域福祉計画(+成年後見・再犯防止)・障がい者計画・障がい福祉計画/障がい児福祉計画・高齢者福祉計画/介護保険事業計画がいずれも令和8年度末で満了する。地域福祉計画本文は「計画期間の4年目に次期計画策定に向けた点検・評価を行う」と定めており、令和7年度に評価、令和8年度に策定というスケジュールが想定される(※推定/2026年8月時点でパブリックコメント等の公表は確認できず)。
  2. 要更新上位計画の参照が旧版のまま。第3次地域福祉計画は「第3次壱岐市総合計画の個別計画」と位置づけられ、その基本理念「誰一人取り残さない。協働のまちづくり。」を引いているが、市はすでに第4次総合計画(合言葉「一緒に前へ、壱岐新時代へ。」)へ移行済み。次期改定では位置づけ・理念の接続の更新が必要になる。
  3. 要確認市ホームページの記載が計画本文と食い違っている。地域福祉計画の掲載ページ本文は基本理念を第2次のまま「みんなで支え合い、尊重し合い、安心していきいきと暮らせるまちづくり」と記載している。計画本文(第3章)の理念が正。
  4. 社協の地域福祉活動計画が空白になっている。市計画は社協の活動計画と「連携」する前提で、基本目標3に「地域福祉活動計画の実施促進」を施策として掲げている。しかし第2期は令和7年度時点でなお策定検討段階で、市計画の次期改定と足並みを揃えて一体的策定に切り替えるか、連携型を維持するかが論点になる。
  5. 重層的支援体制整備事業の実施状況が公表情報から読み取れない。地域福祉計画には「属性を問わない相談支援・参加支援・地域づくりに向けた支援の3つを一体的に実施する」と明記されているが、令和8年3月の施政方針では「包括的支援体制を整え、切れ目のない支援を進める」との表現にとどまり、事業名としての実施表明は確認できない。
  6. 認知症基本法に基づく市町村計画が未策定。現行の高齢者福祉計画は令和6年3月策定で、認知症基本法(令和6年1月施行)や国の認知症施策推進基本計画(令和6年12月閣議決定)より前。認知症施策は高齢者福祉計画の基本目標3に包含されている状態で、次期(第10期)での位置づけ整理が課題。
  7. 県計画も同時期に改定期を迎える。ながさき長寿いきいきプラン(第9期)、第7期県障害福祉計画・第3期障害児福祉計画、第4期県自殺総合対策5カ年計画がいずれも令和8年度で満了。一方で県の福祉保健総合計画(=県地域福祉支援計画)と第二次再犯防止推進計画は令和8年度に始まったばかりで、市の次期計画はこの新しい県計画との整合を取ることになる。
  8. 統計値が出典によって異なる。高齢化率(国勢調査38.7% / 計画推計40.5%)、要介護認定率(22.3〜23.2%)、合計特殊出生率(1.44 / 1.59 / 1.99)などは基準時点と出典が資料ごとに違う。計画本文や資料に採用する際は、基準時点と出典の明示・統一が必要。
  9. 参考未策定・未確認のもの。単独の認知症施策推進計画、母子保健計画(健やか親子21の市町村計画)、バリアフリー基本構想、ユニバーサルデザイン推進計画、手話言語条例はいずれも確認できなかった。手話については第4次総合計画の分野別詳細版に「手話奉仕員などの人材育成」の記載があり、長崎県は令和6年に県手話言語条例を制定済み。